二十世紀の文明を象徴する

地球は、美しい自然をもち、多様な生物が生きている唯一の惑星です。宇宙には無数の天体がありますが、このように美しい自然のなかで生命が生きつづけている星は地球しか存在しないのではないでしょうか。地球にこのように美しい自然があり、生命が生きつづけることができるのは、地球をおおっている大気のおかげです。大気のなかには、ごく微量の二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスがちょうどうまい具合に入っていて、太陽からくるエネルギーをたくみに調整して、平均地表気温がちょうど一五度に保たれるようになっているからです。

この、微妙な大気の構成がいま人類の活動によって、崩されつつあります。それは、産業革命を契機として、大量の化石燃料の消費によって大気中の二酸化炭素の濃度が年々異常な率でふえているからです。同時に、大気の安定化に中心的な役割をはたしてきた森林、とくに熱帯雨林が大量に伐採され、消滅しています。熱帯雨林の破壊は、化石燃料の燃焼と同じように、大気の二酸化炭素の濃度の急速な上昇をひきおこしています。

地球温暖化はヽ二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの大気中の蓄積によってひきおこされたものです。地球温暖化は、たんに平均地表気温の上昇だけでなく、気候条件の極端な不安定化をもたらし、美しい自然を大きく変えて、数多くの生物の存在に大きな脅威を与えることになります。とくに、地球温暖化によってひきおこされる自然環境の激変によって、美しい都市が失われ、多数の環境難民がでることは必至です。

二十世紀は、工業化と都市化の世紀でした。高度の発達した近代技術は、生産性のすばらしい上昇をもたらし、人々は経済成長の果実を享受しているかのようにみえます。しかし、二十世紀を通じて、自然環境の破壊は著しく、先進工業諸国と発展途上諸国の間の経済的格差は大きくなってきました。

地球温暖化は、この二十世紀の文明を象徴するものです。それはたんに現在の世代に被害を与えるだけでなく、遠い将来の世代に対しても取り返しのつかないかたちで被害を与えつづけることになります。二十世紀の後半はまた、アメリカとソ連の間に冷戦状態がつづき、大量の核兵器の存在が、想像を絶した大量破壊の危険をはらんで、人類を恐怖のどん底におとしいれてきました。これはすべて、近代技術の進歩と経済力の発展とによっておこったものであり、地球温暖化と無縁ではありませんでした。

しかし、一九九一年の「八月革命」によって、ソ連帝国は崩壊し、冷戦状態は解消され、世界はまったく新しい状況のもとにおかれることになりました。この、新しい状況のもとで、地球温暖化をはじめとする地球環境問題に対して、私たちは誠実に対応し、人類の将来に悔いを残さないようにしたいと思います。


— posted by wgft at 03:05 pm