公共投資の地方配分

最後の挑戦は基盤整備である。交通体系の整備についてはすでに述べた。そのほか、文化・スポーツ施設や新しい研究開発などの施設を作っていく。

その際一番大切なことは、投資対効果の考え方である。国の公共事業予算は単年度予算であるから、どうしても短期間における投資対効果の議論になりやすい。リニア新幹線においても、宮崎-大分間、札幌-千歳間よりも、東京―山梨間か先行するし、新幹線の整備においても、青森-盛岡間、博多-鹿児島間よりも、高崎-軽井沢間が一番手になる。これではますます東京周辺に公共投資が集中し、一極集中が加速されるだけだ。

政府は民活法(民間事業者の能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法、六一年)を制定し、民間資本の導入におおわらわだが、総理府の調査(六三年)によると、一〇〇〇億円以上の民活プロジェクトは三五件で、うち一六件が東京周辺に集中している。東京湾横断道路、幕張メッセ、かながわサイエンスパークなど。めぼしいプロジェクトが東京圏に集中したことで、それがまた地価狂騰の原因にもなっている。

明治政府時代、日本の鉄道は名寄から鹿児島に至るまで、全国を網羅した。現在の九州や四国では、明治時代の鉄道路線の大部分がそのまま使われている。日米構造協議によってようやく政府は重い腰を上げ、公共事業一〇ヵ年計画を策定し、下水道や公園など社会生活基盤の充実に力を入れるようになったが、短期的な効率論ではなく、国家百年の大計にたって地方における基盤投資をこの際思いきって行なうべきである。


— posted by wgft at 09:34 am