大使館の活動の中でもっとも重要な位置を占めるのは情報収集と分析

大使館の活動の中でもっとも重要な位置を占めるのは、その大使館のある国家の情報収集と分析である。1つの大使館がその所在国だけでなく、近隣のいくつかの国家をも管轄することもある。これを兼轄(けんかつ)と言います。そもそも西欧で常設大使館の制度が生み出されたことは、西欧型国際社会の形成と発展にとってきわめて重要な意味をもっているといわれる。

そして常設大使館を設置するという発想の基礎にあったのは、その国家の政情を間断なく監視するということにあった。つまり情報収集、分析という仕事は、大使館のもっとも基本的な機能ということである。

この重要性は、情報化社会と呼ばれ、情報伝達手段が格段に発達しか今日においても、基本的には変わっていない。通常いわれる「土地勘」「プレゼンス」さらには相手側担当者等と経常的接触ができることといった要素が情報収集、分析に果たす役割は、何ものにも替えがたい重みをもっている。

この重要性は今後も維持されるだろう。むしろ国際関係が緊密さを増し、国家間の接触の頻度も増すにしたがい、現地大使館が正確な情報を迅速に収集し、分析して本国に知らせることの重要性は、ますます高まっていくと考えられる。繰り返しふれていることだが、外務省の機能強化の必要性が説得力をもつ所以である。

情報収集と分析の重要性という問題との関連で考えなければならない問題の1つが外交官の任期ということである。外交官が1つのポストで勤務する期間は、通常2年ないし3年である。

3年の場合は一国に勤務したら帰出し、2年の場合はもう一国で勤務するというような形が原則となっている。ただし、例外がきわめて多い。後者の場合は、いわゆる先進国と途上国とを1ヵ所ずつということになる。

— posted by Arquite at 11:24 am