ユーロは国際基軸通貨になる

理屈からすれば、いくつかの請求書の付加価値税の合算でも格差が生ずるはずだ。提示された例では、ユーロで納税した場合にいくばくかの利益が生ずることを示している。しかし、逆にユーロ移行へのコストも生じているから、この例では差し引きするとそんなに大きな問題にはならない。「だからといって、会計上の確認が免除されるわけではない」 解説は、さらに、法人税、個人所得税、職業税、不動産税について触れている。そのわずらわしさは並大抵ではなく、例解はそろそろ打ちきりである。閑話休題。疲れた頭に、ユーローパズルをひとつ。


シャンとジルベールとミシェルが一〇ユーロずつ、計三〇ユーロの税金を納めた。話のわかるフランスの税務署が、五ユーロの還付金をくれた。徴税請負人ピエールは、五ユーロを持って三人のところに出向いたが、三人に五ユーロは半端だと、一人一ユーロずつを返した。残りのニューロは彼の懐に入る。三人は一人九ユーロずつ払ったことになるから、払った税金は合計二七ユーロ。ピエールの懐にはニユーロあるから、総計は二九ユーロ。


最初の三〇ユーロのうち一ユーロはどこに行ったのだろうか。これはパズルだから種もあるが、現実の換算格差はどうしようもない問題として残る。証券業務委員会は「これは三年間の過渡期の問題だ。いずれ時間が解決する」と言っている。ひょっとすると、これは最大のユーローショックになるかもしれない。ユーロがドルとならんで、国際通貨の一環を占めるであろうという点では、ほとんどの専門家の間で意見が一致している。


円も加えて、国際基軸通貨の三極体制といういい方もあるが、ほとんどが形式論の域を出ていない。問題はそのバランスがどうなるかである。結論的にいえば、国際基軸通貨としてのユーロの地位は高まり、ドルの地位は低下する。それを占うのが、ドルからユーロヘの国際資金の移動である。これが本格化すると、国際的準備資産としてのユーロの地位が固まり、ドルからユーロヘの基軸通貨の移行は明らかとなる。





— posted by wgft at 11:11 am